Derma Dream 2018
第460回 日本皮膚科学会大阪地方会
和歌山県立医科大学 古川福実 皮膚科教授退職記念地方会
日時:
平成29年3月11日(土)和歌山県立医科大学講堂
平成29年3月11日(日)ホテルグランビア和歌山
大阪大学大学院医学系研究科
情報統合医学皮膚科学
教授 片山一朗
古川福実先生の定年退職記念地方会が開催され、出席した。初日の土曜日、午後2番目が大阪大学の林先生の発表であり、開始前には到着していたが、和歌山医大病院の敷地は広く、実際の会場に着いたのは開始5分前であった。会期の土、日2日間、水谷仁、三重大教授の退任東海地方会や静岡地方会が重なり、出席者など心配していたが、天候にも恵まれ、全国から多くの先生が出席、講演された。古川先生の長年の功績を振り返りながら、膠原病、皮膚外科、美容皮膚科、自然免疫など和歌山医大皮膚科がテーマとされる演題が発表された。私自身は、初日は今月25日に病院名の変更、新規開院する大阪国際ガンセンター、腫瘍皮膚科部長の為政大畿先生の「メラノーマに対する新規薬物療法の実際」の講演座長を務めさせて頂いた。大阪国際ガンセンターは大阪府立成人病センターからの名称変更で、今後海外からの患者の増加を見据え、ガン診療に特化して行く方針で、合わせて重粒子センターを併設し、大阪、関西地域の包括的なガン治療の拠点となる。皮膚科でも近年、重症のガン患者を診療する施設が減っており、専門医指導にも支障を来しつつある。為政先生のご指導で関西一円から腫瘍皮膚科医を目指す若い先生が集い、皮膚腫瘍診療を担う人材が育つことを期待する。3月4日に行われた開院式典でも左近病院長が、腫瘍皮膚科として西日本の皮膚腫瘍の診療拠点と紹介頂き、今回古川先生にも配慮頂いた事、この場を借りて、お礼を申し上げる。引き続き、NPO法人のオールアバウトサイエンスジャパン代表の西川伸一先生が「21世紀医学の課題」ということで講演された。西川先生は古川先生の京都大学の先輩で、我々の業界ではメラノサイトの幹細胞研究で有名な方であるが、今回は、進化医学をテーマにお話をされた。特につい最近、Nature誌に発表されたネアンデルタール人が抗生物質の素になる青カビや鎮痛作用のある薬草を歯の治療に使用していた事や、進化の過程で獲得した遺伝子変異が現代人の疾病の発症にどう影響しているか、個々の患者でexome解析することの重要性を強調された。西川先生はスライドに示すような情報提供サイトをお持ちで、興味の有る方は是非アクセスして頂きたいと述べられた。
懇親会はアバローム紀の国で開催され、大阪地方会の運営委員長として長年のご貢献にお礼を述べた。翌日も大原國明先生のモーニングセミナーから学会が開始され、午前中の一般演題が終了後、古川先生の記念講演が宮地先生を座長として、開始された。
「変貌する自己:左右(とにかく)なんとかすごしてはきた。」のタイトルは恩師の山田瑞穂浜松医大名誉教授の残された言葉とのことで、京大の病理時代、浜松医大時代、和歌山医大時代の事を多くのメモリアルフォトを使いながら述べられた。特に最近は若い先生や学生教育に力を入れてこられたとの事で、教授としていかに自分の思いを伝えるか、そして言葉として記録に残す事の重要性を恩師の濱島義博先生や古武彌四郎和歌山医大名誉教授の言葉を引用して述べられた。これらは和歌山医大皮膚科のHPで拝見できる。私も和歌山医大皮膚科同門会長の宮崎先生の座長で「膠原病の寒冷過敏」を発表した。
地方会終了後は、退職祝賀会が会場を移して開催された。その中で多くの祝辞が述べられたが、特に感慨深かったものとして今村先生が述べられた「無事定年を迎えられた事が何より嬉しい」との言葉が心に残った。これは昨年11月に59歳の若さで逝去された宇谷厚志長崎大学教授を思い出されてのことと拝察した。また昨日、届いた和歌山県立医大皮膚科同門会誌に寄稿された古川先生の「症例報告を書く」を貼付しておく。私も先ず症例報告を書く事から良い臨床医、そして良い研究が生まれるといつも若い方に言っているが、その通りのことが書かれている。若い人のモチベーションを上げる努力は何より大切と考える。また宮地先生が古川先生の単身赴任生活28年の内輪話をされたが、本当にご苦労様と申しあげたい。
祝賀会で披露されたエピソードやたくさんの写真は古川先生が如何に多くの教室員から愛されておられたか、また先生が教室を去られる寂しさが教室員皆さんのコメントから感じられた。四月からは新しい勤務地で、祝賀会中に授かられた初孫の近くに住まれるとのことで、本当におめでとうございます。
第260回日本皮膚科学会大阪地方会プログラム
(和歌山県立医科大学 古川福実 皮膚科教授退職記念地方会) PDF
症例報告を書く
和歌山医大皮膚科教授として最後の挨拶文 PDF
平成29年3月14日